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高松地方裁判所 昭和48年(わ)122号 判決

本店所在地

香川県三豊郡詫間町大字詫間八八八番地

富士建設株式会社

右代表者代表取締役

真鍋利光

本籍

同県同郡同町大字詫間四、六一一番地

住居

同県同郡同町大字詫間八八八番地

会社役員

真鍋利光

昭和二年一〇月一三日生

右会社および真鍋利光に対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は検察官忠海弘一、弁護人佐長啓一、同吉田正已各出席のうえ整理し、次のとおり判決する。

主文

被告会社を罰金五〇〇万円に、被告人真鍋利光を懲役一〇月にそれぞれ処する。

被告人真鍋利光に対しこの裁判の確定した日から二年間右懲役の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社は、肩書本店所在地において土木建築業等を営んでいる資本金二、〇〇〇万円(昭和四七年三月一四日までは一、五〇〇万円)の格式会社であり、被告人真鍋は被告会社の代表取締役として同会社の業務全般を統轄している者であるが、被告人真鍋は、被告会社の業務に関し法人税を免れようと企て、被告会社の昭和四六年四月一日から昭和四七年三月三一日までの事業年度において、その所得金額が九、〇八九万九、九九九円、これに対する法人税額が三、二四七万円であったにもかかわらず、工事収入の一部を公表経理から除外し、これを簿外預金として蓄え、あるいは架空の工事原価を計上し、当時被告会社において建築中であった丸亀プラザホテルの工事費用の相当部分を公表経理から除外したうえ、右架空の工事原価の計上によって得た余裕賃金を右工事費用にあてる等の不正な方法により、右所得金額中七、〇八二万一、〇九一円を秘匿したうえ、同年五月二七日、観音寺市観音寺町所在観音寺税務署において、同署長に対し、右事業年度の所得金額が二、〇〇七万八、九〇八円、これに対する法人税額が六四六万〇、一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により右事業年度の法人税二、六〇〇万九、九〇〇円を免れたものである。

(証拠の標目)

一、被告人の当公判廷における供述

一、観音寺税務署長作成の証明書

一、大蔵事務官香川俊夫作成の「脱税額計算書」、「富士建設株式会社の簿外利益計算書」、「山下団地の売却益の計算書」、「詫間ニュータウンの売却益の状況」と題する各書面

一、森チヱ子の高松国税局収税官吏に対する各質問てん末書

一、竹原博、真鍋定雄、三好千鶴子、三好欣正、喜田忠助、長井昇八、石井善一、長尾武男、喜田国重、竹村勝已、竹内成寿、斉藤学、久原茂、山原定彦、磯崎秀邦、通上章、太田善治、秋山鶴吉、中山寅一、吉田艶造の高松国税局収税官吏に対する各供述調書

一、前田仁、斉藤寿太郎および長井昇八、緩田敏行、中山典明および末峰鑑二、田中久美子、本郷輝彦作成の各上申書と題する書面

一、笠孝、浜口久男、中山典明および末峰鑑二、桜内為典および虎寿一、溝関良彦および校松男、安西清、宮脇朝男作成の各証明書と題する書面

一、高松法務局詫間出張所登記官宮本忠義作成の登記簿謄本

一、被告人真鍋利光および森チヱ子作成の各上申書

一、被告人真鍋利光の高松国税局収税官吏に対する各質問てん末書

一、被告人真鍋利光の検察官に対する供述調書

(法令の適用)

被告人真鍋の判示所為は法人税一五九条一項(七四条一項二号)に該当するので、所定刑中懲役刑を選択し、所定刑期範囲内で同被告人を懲役一〇月に処し、情状により刑法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から二年間右刑の執行を猶予することとし、判示所為は、被告会社の代表者である被告人真鍋が被告会社の業務に関して行なった違反行為であるから、被告会社に対し、法人税法一六四条一項により同法一五九条所定の罰金刑を科すべきであるから、所定金額の範囲内で被告会社を罰金五〇〇万円に処することとする。

よって主文のとおり判決する。

(裁判官 浜井一夫)

右は謄本である。

昭和四八年七月二七日

高松地方裁判所

裁判所書記官 宮本忠夫

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